「率直に言ってわれわれが勝った」と一方的に勝利をアピール

アメリカの大統領選は全米各州で投開票が行われ、共和党候補のドナルド・トランプ大統領(74)と民主党候補のジョー・バイデン前副大統領(77)が、当選に必要な270人の選挙人の獲得をめぐって大接戦を繰り広げている。

アメリカ東部ペンシルベニア州フィラデルフィアの集計会場前で行われたトランプ支持者(左手前)とバイデン支持者(右奥)のデモ
写真=時事通信フォト
アメリカ東部ペンシルベニア州フィラデルフィアの集計会場前で行われたトランプ支持者(左手前)とバイデン支持者(右奥)のデモ=2020年11月5日

報道によると、バイデン氏が優勢だ。だが、選挙人の獲得に勝っても今回は裁判での争いが予想され、最終的に勝敗が確定するまでにはかなりの時間がかかりそうだ。

投票日翌日の11月4日未明(日本時間同日夕)には、新型コロナウイルスの感染対策で郵便投票が大幅に増え、開票に遅れが出る異例の事態となるなか、トランプ氏がホワイトハウスで「勝利が見えてきた。率直に言ってわれわれが勝った」と一方的に勝利をアピールした。事実上の“勝利宣言”である。この時点で勝利を宣言するトランプ氏の行動には、開いた口がふさがらない。

トランプ陣営は開票・集計の打ち切りを要求する訴訟を複数の州で起こしている。トランプ氏自身も「不正の温床」と主張していた郵便投票を指し、「われわれは選挙の正当性を守らなければならない」と訴え、これも法廷闘争に持ち込む考えを示した。

「バイデン陣営は大統領選を盗もうとしている」

郵便投票を行った有権者は民主党支持層に多い。トランプ氏は難癖を付けて、自分にとって不利なことをすべて否定し、自己主張を押し通す。なんと強引で卑劣なやり方だ。

5日にもトランプ氏はホワイトハウスで記者会見し、改めて「郵便投票で不正が行われている」と主張するとともにバイデン氏が制したすべての州に提訴を拡大する意向を表明した。

このトランプ氏の“勝利宣言”を予想していたのだろう。バイデン氏はトランプ氏の“勝利宣言”に先立ち、デラウェア州の自宅近くの屋外会場で「私たちはこの選挙の勝利の道筋にある」と演説した。

このバイデン演説の直後にもトランプ氏はツイッターにこう投稿していた。

「われわれは大差で勝っている。バイデン陣営は大統領選を盗もうとしている」
「昨夜多くの州でリードしていたが、ひとつひとつ魔法のように消え始めた。とても奇妙だ」

この書き込みを見たツイッター社はすぐに「誤解を招く可能性がある」と警告した。当然である。