2000年の大統領選でも1カ月以上の法廷闘争になったが…

東京社説は最後にこう指摘する。

「2000年の大統領選では、フロリダ州の集計結果をめぐって法廷闘争になり、決着が長引いた。今回、訴訟合戦になればあの時以上の混乱が起きよう。両者とも選挙結果を尊重すべきなのは言うまでもない」

2000年の大統領選では、ジョージ・ブッシュ候補(共和党)とアル・ゴア候補(民主)が1カ月以上も法廷で争った。フロリダ州での得票はブッシュ氏がゴア氏を上回った。だが、1784票という僅差。この僅差に再集計を求めるフロリダの州法が適用された。ゴア陣営は手作業による再集計を求め、フロリダの州最高裁がこの訴えを認めた。

しかし、ブッシュ陣営はこれを不服として連邦最高裁に上訴したのである。結局、連邦最高裁は12月12日、州最高裁の判決を破棄した。再集計で票の有効や無効を判断する際の基準が郡によって異なることを理由に挙げ、憲法修正第14条の「法の下の平等」に反する可能性を指摘したのである。

ゴア氏は敗北を認めざるを得ず、翌13日に敗北を宣言し、ブッシュ氏の勝利が確定した。11月7日に投開票された後、ブッシュ氏の勝利が決まるまでに37日もかかった。

トランプ氏の狙いは「下院が投票で大統領を選ぶ」ではないか

今回の選挙でも、トランプ陣営が郵便投票の開票を不正だとして州裁判所に訴え、違憲性を理由に連邦最高裁に持ち込む可能性は否定できない。

その場合には、連邦議会が勝者を決めることになる。議会は通常、1月6日の上下院合同会議で選挙人の数を集計して勝者を正式に決める。

ただし、開票の遅れからその6日にまだ一部の州の選挙人が確定していないと、トランプ氏もバイデン氏も過半数に届かない可能性が出てくる。その場合、下院が投票で大統領を選ぶことになる。

大統領職にしがみ付くトランプ氏はこの下院での戦いを狙っているのかもしれない。混乱はまだ長引きそうだ。

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