トランプ氏の大統領職へのこだわりは異常としか思えない

アメリカの大統領選で勝利を確実にした民主党のジョー・バイデン前副大統領(77)が11月10日、地元の東部デラウェア州で記者会見を行った。

ワシントンにあるトランプ氏のホテル前でバイデン氏の旗を掲げる支持者=2020年11月7日
写真=時事通信フォト
ワシントンにあるトランプ氏のホテル前でバイデン氏の旗を掲げる支持者=2020年11月7日

バイデン氏は共和党のドナルド・トランプ大統領(74)が敗北を認めていないことに対し、狼狽や当惑、困惑を意味する「embarrassment」という表現を使い、「実に恥ずかしいことだ」と批判するとともに「大統領のレガシー(政治的遺産)にとって良くない」と語った。トランプ氏に早く敗北を認めることを求め、「協力がなくとも政権移行の準備は進められる」と強調した。

トランプ氏はバイデン氏の勝利宣言以降も、法廷闘争を叫び、敗北宣言を拒んでいる。だが、選挙の不正を疑わせる情報はない。11月6日付の記事「身勝手な勝利宣言をするトランプ氏が、このまま大統領でいいはずがない」でも指摘したが、トランプ氏の大統領職へのこだわりは異常としか思えない。潔さのかけらもない。このまま赤っ恥をさらしたまま消え去るのだろう。

トランプ氏の得票は2008年のオバマ前大統領を上回っている

今回の大統領選では、バイデン氏とトランプ氏がともにオバマ前大統領が初当選した2008年の過去最多得票数(6950万票)を更新した。

報道によれば、バイデン氏が勝利宣言をする直前の6日未明時点の集計でバイデン氏は7350万票、トランプ氏も6960万票を獲得していた。総投票者数は1億5800万人を軽く超え、投票率は66.4%に達した。大統領選の投票率が60%台後半となるは、1908年以来のことになる。

トランプ氏は前回、得票数ではヒラリー・クリントン氏よりも少なかった。しかし、獲得した選挙人の数でヒラリー氏を上回って勝利した。

なぜ今回の大統領選はこれだけ投票率が高くなったのか。新型コロナの感染拡大で郵便投票の条件が緩和され、多くの有権者が期日前投票を行ったことに加え、就任以来、問題発言を繰り返してきたトランプ氏の勝敗に注目が集まったからだろう。

今回の大統領選挙で敗れたとはいえ、トランプ氏に投票したアメリカ国民はたくさんいた。いわば依然としてアメリカ国民の半分はトランプ氏に期待している。トランプ氏が消えても分断は解消しない。私たちはその厳しい現実を直視する必要がある。