ハリス氏こそが、アメリカ初の女性大統領になる人物

とくにハリス氏はまだ56歳と若い。容姿からもみなぎるエネルギーが伝わってくる。

ハリス氏は、インド出身のがん研究者の母親と、ジャマイカ出身の経済学者の父親の間に生まれ、カリフォルニア大学のロースクールなどを卒業した。検察官となり、女性として初のカリフォルニア州司法長官をも務め、2016年からはカリフォルニア州選出の上院議員として活躍してきた。

11月7日夜、バイデン氏とともにデラウェア州ウィルミントンで演説したときの「私は女性として初めての副大統領だが、最後ではない」という言葉が実に良かった。アメリカの多くの若い女性に大きな勇気を与えた。

バイデン氏を支える大きな力となることは間違いない。沙鴎一歩は彼女こそが、アメリカ初の女性大統領になる人物だと思っている。

「地球規模の課題は大国も単独では解決できない」

話を朝日社説に戻そう。

朝日社説は「国際社会では、米欧や日本などの民主主義国と、中国、ロシアなどの権威主義国との価値観の対立が鮮明になっている」と書いた後にこう指摘していく。

「その中でトランプ氏は同盟関係を軽んじた。目先の打算で北朝鮮の首脳をたたえ、西欧は突き放すような無原則な姿勢が国際政治のモラルを侵食した」
「中国と覇権を争うさなかに、米国の強みである同盟のネットワークを損ねる。そんな矛盾した対外政策は、根底で自らの力の源泉を見誤っていないか。いまや世界は、大国間競争の時代が再来したとも言われる」
「だが、コロナ問題が示したように、地球規模の課題は大国も単独では解決できない。多極的な協調しか対処の道はない」

同盟国の力を軽視し、目先の利益で動く。国際政治のモラルをないがしろにして中国と覇権争いにまみれる。トランプ氏の政治は国内外を問わず、社会を大混乱させた。だが、そんなトランプ氏を大統領に選んだのはアメリカ国民であり、アメリカという国の民主主義なのだ。民主主義の在り方が問われていることは間違いない。トランプ後の社会は、これまで私たちが築き上げてきた民主主義や自由主義、それに資本主義をさらに発展させる方法を考える必要がある。

朝日社説は続けて主張する。

「バイデン氏は、トランプ政権による過ちの是正が最初の仕事となろう。気候変動をめぐるパリ協定とイラン核合意への復帰を果たし、核軍縮体制や中東政策の立て直しが必要だ」
「そのうえで、米国自身が築いてきた戦後秩序を礎に、新たな現実に対応していく結束の枠組みづくりをめざすべきだ」
「バイデン氏は就任1年目に、民主国家を一堂に集めた首脳会合を開くと宣言している。広がるポピュリズムのなかで、民主主義の復権に向けて米国が決意を示すならば意義深い」

「民主主義の復権」。もちろん、復権がなければその発展はない。