2019年4月の北海道知事選挙。圧勝したのは、全国最年少で唯一の30代知事となる鈴木直道氏だった。鈴木知事は、財政破綻して再生団体となった夕張市で2期8年、市長を務めた。市長として打ち出したのは、人口減少を前提とした都市計画。人口増を目指すことが当たり前の世界で、この計画は一種のタブーだった。慣例を打ち破って市の借金返済に道筋をつけた手腕で、北海道をどう変えるのか。ジャーナリスト田原総一朗が切り込む――。

なぜ東京都職員が夕張市長に?

【田原】北海道知事選、圧勝でしたね。どうして圧勝できたんだろう?

北海道知事 鈴木直道氏

【鈴木】ありがとうございます。理由はよくわからないんです。私は道産子ではなく、26歳のときに単身で夕張に来ました。それから12年しか経っていないのですが、見てくれていた人がいたのかもしれません。今回の選挙戦では、北海道179市町村のうち165市町村を回り、約5万人の方と会いました。その中で、「夕張のころから応援しているよ」と声をかけてくださる方はけっこういました。

【田原】鈴木さんは夕張市長を2期8年務めた。3期目をやる選択肢もあったと思うけど、どうして知事になろうとしたのですか?