世界でも日本は再生医療研究が盛んだが、山中伸弥教授をはじめ研究者の層が厚く、若手の出番は少ない。そんな中で強烈な存在感を放つのが武部貴則教授だ。26歳で「ミニ肝臓」の開発に成功。論文は「Nature」に掲載されて世界中の注目を集めた。また、31歳の若さで大学教授に就任。年功序列が根強い日本では異例のスピードだ。若き天才が目指す医療とは何か。再生医療の取材経験も豊富な田原総一朗が鋭く迫った――。
研究者への道を決めた臓器移植の現実
【田原】武部さんが医学をやろうと思ったのは、いつごろからですか?
【武部】興味を持ったのは小3のときです。建築会社で普通にサラリーマンをしていた父が30代後半で脳卒中に。一時は危なかったのですが、奇跡的に復活を果たしました。その過程で、私の面倒を見てくれていたおじいちゃんとおばあちゃんが「医者はすごい。お父さんを治せるんだよ」とよく言っていて、その刷り込みでいつしか医者になりたいと思うようになりました。
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