東欧の医学部に進学する日本の学生が増えている。医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は「ハンガリーの場合、学費は年間170万円程度。生活費を含めても約300万円で済む。米国などへ留学するよりも安く、就職先は日本を含めて世界中を選べる。日本の医学部を選ぶ理由はない」という——。

求められるのは「やり抜くバイタリティー」

「500人程度の日本人がハンガリーの医学部で学んでいます」

吉田いづみさん(中央)。ハンガリーでの病院実習の光景。写真提供=吉田いづみ

吉田いづみさんは語る。彼女はハンガリーのセンメルヴェイス大学医学部で学ぶ医学生だ。2014年に千葉県の幕張総合高校から進学した。

海外生活でのストレスもあったのだろうか、2016年に炎症性腸疾患を発症し、休学した。この時、ご縁があって、私どもが主宰するNPO法人医療ガバナンス研究所でインターンをした。その後、体調は快復し、復学している。この秋に5年生に進級する。

彼女は、ハンガリーの医学部を選んだ理由を「将来、世界を舞台に活躍したい。そのためには海外で経験を積むべきと考えた」という。

また、後述するように、受験の点数だけで合否が決まる日本の医学部と、学生の受け入れシステムが違う。求められるのは、受験の高得点ではなく、大学が用意するカリキュラムをやり抜くバイタリティーだ。

彼女がハンガリーを選んだのは、この点を評価したからだ。アメリカの大学はアメリカ人、イギリスの大学はイギリス人がメインなのに対し、ハンガリーの医学部はインターナショナルコースを設置しているため、さまざまな国から学生が来る。

センメルヴェイス大学には、世界各地から学生が来る。同級生には、アメリカはもちろん、イスラエル、ノルウェイ、カナダ、インド出身者がいる。