ハラスメントで気を付けるべきことはなにか。公認心理師で産業カウンセラーの大野萌子さんは「例えば女性が新しい洋服やアクサリーを付けていて『似合ってるね』『かわいい』と言うのはハラスメントに当たらない。たいてい問題になるのは、その後の言動だ」という――。

※本稿は、大野萌子『Z世代をモンスターにしない言葉』(ビジネス社)の一部を再編集したものです。

オフィスで働く女性
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権利ばかりを主張してくる困った部下

上司の多くは中間管理職の人も多くいらっしゃるでしょう。会社の上層部と部下たちとの板挟みにあったり、自分が若い頃はさんざん我慢と苦労を重ねてきたのに、(最近の若手社員は自由でいいなあ)などと思われたりすることはあるかもしれません。

上司のギモン①

権利ばかりを主張してきます。有給休暇や各種休暇は社員に与えられた権利ですから、行使するのはいいのですが、抑制的であってほしいと思うのは間違っているでしょうか。注意できないことなので困っています。

休みの希望など、当然の権利といわれているものが、どこまで本当の権利なのかとお困りになることもあるでしょう。

誰にも権利はあるでしょうが、基本的に権利を主張するためには、責務を全うしなければならない、というのがセットですから、与えられた仕事をきちんとやっていないのに、権利だけを主張するという場合は毅然と対応して問題ありません。

また、職種や業務によって、社員に休んでほしくない繁忙期があるでしょう。そんな時期に休み希望が出たとしたら、もちろん希望の理由にもよるでしょうが、「業務優先で、他の時期に休み希望を変更してくれないか」と話してみましょう。

9時ギリギリに来る若手にどう伝えるべきか

そして、もちろん権利は権利であるものの、それは「仕事の責務と表裏一体としてあるものなんだよ」ときちんと説明することです。

そうしたときに日頃の信頼関係がカギになるかもしれません。

中にはそれでも引かず、「どうしてですか?」と屁理屈を言って食い下がってくる場合もあるでしょう。

休みの問題だけでなく、始業時間などに関しても同じです。たとえば9時始業なのに、いつもギリギリに来る。それでは困ると指摘すると、「ちゃんと9時には来ています。社屋の玄関にいます。それのどこが悪いんですか?」と言い返してきたりします。

そこで「9時に仕事ができるように席についているのは常識だろう」とか、「社会人なんだからとにかく早く来い!」というような言い方をしてしまったら、「ハラスメントだ!」と言われてしまう。屁理屈が返ってきたら、それには理路整然と理屈で返すことが必要です。

「9時に仕事をスタートできる状態で、自分の机に座っていることが始業とみなします」

……と知らしめ、もちろん事前に具体的な擦り合わせをしておくことも大切です。社屋にいたとか、タイムカードを押した時間ではないことをはっきり伝えるのです。

何分前に来いとは言わないけれど、5分で支度できるんだったら5分前でけっこう、だけど9時には席についていなければいけないと。