部下のやる気を引き出すためにはどうすればいいのか。公認心理師で産業カウンセラーの大野萌子さんは「仕事内容が希望に沿わないと『面接のときに言われたことと違う』と不満を漏らす若い人が増えている」という――。

※本稿は、大野萌子『Z世代をモンスターにしない言葉』(ビジネス社)の一部を再編集したものです。

部下に声をかける上司
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「やりがい」は給料だけでは生まれない

部下のモチベーションを高めたい、仕事をするからには気持ちよく働いてほしいし、それによって成果を出してほしい。上司が一番やきもきするところでしょうし、職場での永遠のテーマといえるかもしれません。

たとえば、とりあえず言われた仕事はやるけれど、なんとなくこなしているだけで、やらされているような印象が伝わってくる場合があります。

そこで何が必要なのかというと、抽象的な精神論だけでは効果がないですし、だからといってむりやり押しつけるわけにもいきません。

上司のギモン①

お金のために働いているという感じがアリアリで、こちらもあまり気持ちがよくありません。お金のために働くのは当然のことなので、これでいいのでしょうか。仕事のおもしろさはお金以外のところにもあると思うのですが、それをうまく伝えられません。

この問題は、Z世代に限らないかもしれませんが、生活のために働かないといけないから、100%納得はしていないけれどもやっている、というところでしょうか。

仕事だからやっている、そんな姿勢が感じられてしまうと、職場の雰囲気にも影響しますし、それは当然ながら業績にもつながってしまうものです。

「有意味感」が部下のモチベーションを変える

もちろんお金のために働くという側面はあるのですから、給料が上がれば当然やる気も上がるのでしょうが、お金とやりがいと、両方があったほうが仕事のパフォーマンスも上がるものです。

では、どうしたらいいかというと、一つには「有意味感」を持ってもらうということが大事です。自分の仕事に「どんな意味があるのか」ということです。

そして、自分が関わった仕事がどのように実を結ぶか、その結果が見えないとやりがいにはつながりません。

どんな仕事でも、意欲をもって関われるかどうかはその人次第ですが、内容や目的もよくわからないまま、数字の計算や入力ばかりさせられたりして、これは何の意味があるんだろうなどと思ってしまうと、当然それは「やらされ仕事」になってしまいます。

興味の持てないことや負担の大きいことを強いられれば、それがストレスに感じられるのは当然です。

そうならないためには関わっている物事の大枠を伝え、どんな仕組みになっていて、最終的にはこうなるという全体像がつかめると、やっていることがどんなに単純作業であっても、「意味のあることだ」と思えるでしょう。