豊かな老後生活には「働き続ける」が前提
年金制度は5年に1度、見直しが行われます。2025年はその年にあたりますが、今回はどんな改革が行われるのでしょうか。厚生労働省は12月上旬にその具体案を公表しました。私が配信しているYouTubeチャンネル「オタク会計士ch【山田真哉】少しだけお金で得する」の動画でも詳しく解説していますが、プレジデント誌でもお話ししたいと思います。私たちが将来受け取る年金額を大きく左右する内容もありますので、しっかりチェックしておきましょう。
今回の年金改革では、定年後の働き控えを解消する改革が行われます。現状、60歳以降に年金を受け取りながら働くと、年金が減額されます。これを在職老齢年金と呼んでいます。具体的には給与・賞与と年金を合わせた額が月50万円を超えると、超えた分の2分の1が減額される仕組みになっています。このため、高齢者の中には減額されない範囲で働こうとする人が見られます。今後は減額の基準を50万円から62万円または71万円に引き上げ、働くシニアの受け取れるお金を増やす狙いです。
年金額底上げの改革案も盛り込まれています。公的年金には全員が加入している基礎年金(国民年金)と会社員や公務員などが加入している厚生年金があります。厚生年金に加入している人は基礎年金と厚生年金の2階建てで加入しています。厚生年金は、会社員で年収300万円だった人の場合、毎年約147万円受け取れる計算となります。40年間勤務と仮定して、支払った厚生年金保険料は1141万円。受給開始からおよそ8年で元を取れることになり、会社員にとっては有利な年金なのです。
一方で、国民年金は財政状況が厳しく、これでは自営業など国民年金だけに加入する人は、老後生活が心配です。そこで、厚生年金の積立金の一部と追加の国庫負担で国民年金の額を底上げする予定です。その結果、基礎年金は現状の1割低い水準で下げ止まるといいます。ただし、基礎年金を底上げするために「会社や厚生年金加入者が支払った保険料を流用するのはどうか」との声も少なくありません。実際に会社員や公務員などが受け取る厚生年金は減ることになりますが、基礎年金の底上げによって厚生年金受給者の大半の受け取る年金額の合計額が増えるのではという見方もあります。それでも保険料の流用が国民に理解されるかは今後の課題です。
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