借金ゼロになる見通しが立ちました
【鈴木】じつは支援者たちは「3期目に出れば」と言ってくれていたんです。ご存じのとおり、夕張は借金で大変でしたが、私の2期8年で再生計画を抜本的に見直して、2026年に借金ゼロになる見通しが立ちました。それに合わせて、減らしていた市長の給料と退職金も3期目からは元に戻す予定でした。だから支援者も「2期も年収250万円でやってきたのだから、3期目に出て、ちゃんともらえば」と。
【田原】じゃ支援者たちを振り切って知事選に?
【鈴木】逆なんです。知事選が近づいてくると、「自民党公認候補として鈴木があがっている」とマスコミで報道されるようになりました。それに対して、別の候補を推す人の筋の話として、「鈴木はたかだか夕張市長。小さな町の破綻を再生しただけ」という記事も多くあがるようになりました。私としてはまだ何も考えていなかったのですが、そうした論調が増えてきて、支援者たちが怒っちゃったんです。「鈴木はそんなタマじゃない。堂々と戦え」と。
【田原】支援者たちが態度を変えて、むしろ知事になれと。
【鈴木】そうですね。北海道は税収6000億円に対して、借金が5兆8000億円あります。この状況は、税収8億円に対して353億円の借金があった夕張と重なります。夕張は何とか再生への道筋がつきましたが、北海道が潰れたら、またダメになりかねない。支援者にそう指摘されて、たしかにそうだなと。私も日本唯一の再生団体の首長を務める中で経験したことを活かせると考え、挑戦を決めました。
【田原】北海道の前に、夕張の話を聞きましょう。鈴木さんはもともと東京都庁の職員だった。なぜ夕張とかかわりを持つようになったのですか。
【鈴木】財政破綻で夕張が抱えた問題の1つは、多くの職員が辞めたことでした。給与40%カットになり、260人いた職員が約100人になったのです。一方、都の職員は16万人。そこで当時の猪瀬直樹副知事が「生きのいいやつを応援で派遣しろ」と構想をぶちあげて、私は「行かせてください」と手を挙げた。そこからの縁です。
【田原】なぜ鈴木さんが選ばれたの?
【鈴木】私は都庁に勤めながら大学に通って、部活動でボクシングもやっていました。当時の石原慎太郎都知事はボクシングが好きで、猪瀬さんも若くて生きのいいやつを求めていたのだと思います。
【田原】鈴木さんは夕張でどんな仕事をしたのですか?
【鈴木】医療費や保険証の窓口の業務を市役所の1階でやってました。
【田原】働いてみて、明るい展望は描けた?