借金がゼロになる計画

【鈴木】日本一高かった税率を下げました。税率を高くして得られる税収よりマイナスイメージのほうが大きかったので、税収効果のないものに関しては下げてもいいだろうと。それからコンパクトシティー化のために100億円の事業をやりました。この投資をすれば、その先の費用が抑えられます。さらに国とかけ合って年5億円あった利子の支払いをなくして、元金のみの返済に。当時マイナス金利になっていたので、特別交付税措置と合わせて実質的な負担をゼロにしてもらいました。こういった取り組みをして、26年に借金がゼロになる計画の道筋を立てることができました。

【田原】借金は目途がついた。でも、それはマイナスをゼロにするだけ。夕張自身のエネルギーはどうやってつくっていったのですか。

【鈴木】夕張は夕張メロンで有名です。残念ながら生産が若干減っているので、海外に輸出したり、加工用の品種改良に挑戦しています。贈答用は丸くないと売れないので、規格外のものが加工用に回るのですが、規格外ゆえに加工用は供給が安定しません。そこで最初から加工用に最適な大きくて日持ちがする品種をつくって、安定供給しようとしています。ほかにもツムラを誘致して、いま中国から輸入している生薬を夕張で生産して逆に輸出しようとしています。日本の野菜は中国で人気なので、日本の生薬もそうなる可能性があると考えています。

【田原】夕張では結果を出した。北海道はどうでしょうか。僕は北海道振興のシンポジウムに何度も出ていますが、問題の1つとして、観光客が1、2泊しかしないことだという指摘があった。長期滞在してもらうには、どうすればいい?

【鈴木】北海道のポテンシャルを活かすための政策を、30年までのロードマップとして整理しました。まず20年から北海道の7空港が一括で民間委託されます。いま7空港は国、道、基礎自治体と所有者が違って、それぞれ管理もばらばらです。これらの管理を一括して民間に任せたら、エアラインの誘致や観光プロモーションを効率的に行えるようになります。あと、20年4月には国立アイヌ民族博物館がオープンします。

それに合わせて、21年に予定されているアドベンチャートラベルの世界サミットの誘致を行います。アドベンチャートラベルは体験型観光のことで、アクティビティ、異文化交流、自然の3つがテーマ。アイヌ文化のある北海道は、そのサミットを行うのにぴったりです。開催できればアジア圏初です。

【田原】それから?