2019年10月、グーグルはスーパーコンピュータが1万年かかる計算問題を、量子コンピュータを使って3分20秒で解いたと発表した。次世代技術として注目される量子コンピュータだが、日本でも開発のフロンティアに立つ研究者、起業家がいる。量子アニーリングのアプリケーションを開発する山城悠氏だ。「量子とは何か」から始まった今回の対談。決してわかったフリをしない田原総一朗が、とことん食いつく――。

そもそも「量子」って何ですか?

【田原】僕は中学・高校で原子や電子を習ったけど、量子は習わなかった。だから基礎から聞きたい。いったい何ですか、量子って?

Jij 代表取締役 山城 悠氏

【山城】量子は物理の分野のすごく小さいミクロの単位です。田原さんが習った原子や、それよりもう少し小さい電子などを総称して、量子と呼んでいます。

【田原】総称ですか。どうして総称が必要なの?

【山城】僕たちが普段生活しているときに感じている物理学は、ニュートン以来の古典力学。一方、すごく小さくて冷たい世界では、僕らが普段感じている物理現象とは違う現象が起きています。そのことを説明するのに、量子が必要でした。

【田原】違う物理現象って?