発売から25年を越えるロングセラー商品「バニラヨーグルト」が売り上げを伸ばしている。発売元は日本ルナ。大手メーカーに比べて宣伝予算が限られるなか、日本ルナはファンを集めた「コミュニティサイト」を作った。そこで見つかった「新しい食べ方」が老舗ブランドに新たな活路をもたらした——。
画像=Beach「バニラヨーグルト コミュニティ」

メディアが変わると、マーケティングも変わる

メディアが変わると、マーケティングが変わる。小さなブランドが自らに潜在していた価値に気づき、新たな取り組みを展開する。そこで必要となる機動性に富んだ展開が、ウェブ利用の拡大ととともに、低予算で実行可能となっている。今回取り上げる小さなブランド「バニラヨーグルト」は、この可能性を捉えている代表的な例だ。

現在、メディアの地殻変動が急速に進んでいる(図表1)。地上波テレビの広告費をインターネット広告が上回る日が迫っている。プロモーションの王者の入れ替わりは時間の問題だ。

いや、実質的な交代はもう完了しているともいえる。ウェブ上を流通する情報は広告に限らない。企業のプロモーションには、オウンド・メディア(企業ホームページなど)による情報発信、そしてアーンド・メディア(個人のブログやSNSなど)を通じた情報拡散もある。これらを総合したプロモーション上の影響力は、すでにテレビ広告を上回っていると見られる。

ウェブを活用すれば、情報の普及を進められるだけではない。プロモーションの比重をウェブに移すことで企業は、取り巻く状況を迅速に理解し、小規模に移動し、適応を進めていくことが容易になる。

このメディアの変動への対応を迫られているのは、誰もが知る巨大ブランドだけではない。これはスモールだがグッドなブランドにとっての追い風である。

日本の広告メディアの動向
日本の広告メディアの動向