優秀なビジネスパーソンは「話し上手」といわれる。だが実際には「トーク力には自信がない」と答える人が多い。なぜイメージと矛盾するのか。7人のプロに話を聞いた。第3回はジャーナリストの「突破する力」――。(全7回)

※本稿は、「プレジデント」(2018年12月17日号)の掲載記事を再編集したものです。

留学生活で得たのは語学力だけではない

翻訳家として自ら発掘した海外書籍を出版社に売り込み、手がけた本は累計25万部を超える。ジャーナリストとして世界中の数々の大物に深く入り込む。そんなタカ大丸氏の話し方の極意とは。
翻訳家・通訳者・ジャーナリスト タカ大丸氏

父から受けた並外れたDV、そして貧困生活。そこから脱出するために私が選んだのは米国留学だった。外国語をマスターし、それで稼げる人間になろうと思ったのだ。

留学生活で得たものは、語学力だけではない。人に対する圧倒的な敬意と思いやりだ。

2000年に入学したニューヨーク州立大学ポツダム校でのこと。ルームメートのドイツ人カップルが何やら話し込んでいた。さりげなく耳を傾けていると、話の内容が理解できた。

また別の日、メキシコ人の女子学生2人が近くで話していた。その話の内容も掴めた。本来、彼らはドイツ語かスペイン語で話すはずで、聞き取れるわけがない。おかしいな、なんで自分はわかるんだ、天才なのかなと(笑)。

でも、後ではっと気付いたのは、使われているのが英語だったということ。彼らは彼ら以外にひとりでも人がいるときは、いつでも会話の輪に入れるように英語を使っていたのだ。強い衝撃を受けた。