※本稿は、「プレジデント」(2018年12月17日号)の掲載記事を再編集したものです。
同期の一言で、平均的社員から脱皮
「人と話さずにすむ仕事をしたかった……」。大学時代のアルバイトは、皿洗いに中古車の洗車。それだけ人と会話をするのが子供のころから苦手でした。大学卒業後も、営業職だけは嫌だったので、地元のゼネコンに就職して経理をしていました。20代中盤で転職した地元の高級外車ディーラーでも経理を希望しましたが、人手が足りなかったせいか、配属されたのが営業職。知らない人に挨拶したり会話したりすることがストレスで、一気に5キロ痩せました。
初めて1台売れたのが、入社して2カ月目のことです。それから売れるようになって、店のトップになりました。相変わらず人見知りで、車についてもそれほど詳しくない。そんな私がひとつだけ守っていたルールが、「お客様に嘘をつかない」ということでした。もし知らないことがあれば、「知らないので、教えてください」と正直に聞く。営業としては未熟ですが、後輩のようなスタンスで可愛がってもらえたんですね。
入社してから1年半後、プルデンシャル生命に声をかけられて、転職しました。ところが入社後の5年間は平均的な業績から抜け出せなかった。それが変わったのは、同期入社のトップセールスからかけられた一言です。「格好つけるな。1円にもならないプライドなんか捨てろ」。確かに当時は、「外資系企業にヘッドハンティングされた自分」というイメージにとらわれて、お客様に何かお願いしたくても、頭を下げられないところがありました。嘘をつかないのが信条だったのに、自分を大きく見せようとしていたんでしょうね。それからは見栄を張らず、お客様の人生に寄り添う気持ちで仕事ができるようになった。すると次第に「この人はいいよ」という紹介が増えて、業績が上向いていったんです。