社長への見事な「報告・連絡・相談」
エネルギッシュに動く経営トップのもとで日々、奮闘している人たちがいる。普通のビジネス書の読者の多くは、そういう人たちにこそ学べるのではないか。そんな思いから『社長の「まわり」の仕事術』(インプレス刊)という本を書いた。
取材したのは、カルビー・松本晃氏、DeNA・南場智子氏、ストライプインターナショナル・石川康晴氏、隈研吾建築都市設計事務所・隈研吾氏、中川政七商店・中川政七氏、サニーサイドアップ・次原悦子氏という6人の経営トップのまわりで仕事をしている13人だ。
13人のインタビューの中では、社長への「報告・連絡・相談」という点で、意外な共通点があった。
報告は極力シンプルに
まずは、どんなふうに伝えていくべきか。やはり大切なことは、見やすく簡易なものにすることだ。
カルビーでフルーツグラノーラ事業を急成長させ、入社6年で執行役員フルグラ事業本部長に抜擢された藤原かおりさんは、判断を仰ぐときに注意していたことがある。それは、見てもらう書類を極力シンプルなものにすることだ。
「1案件、1枚が基本。言われたのは、タイトルを見ればなんの話かわかる。最初の3行を読めば何が言いたいのかがわかる。もう少し細かく知りたいと思ったらその下を見ればわかる。そのくらいのものが一番いいね、と。それを心がけるようにしていました」
伸びている会社は、経営トップが仕事をどんどん任せていく。ストライプインターナショナルのグローバル戦略ブランド「koe」の事業部部長の篠永奈緒美さんは、石川康晴社長に随時進捗報告をしていくと語っていたが、気を付けていることがある。状況について、あまり隠さずに率直に伝えていくことだ。マイナス情報もきちんとインプットしてこまめに共有する。
「そうじゃないと意思決定が間違った方向に行きかねません。もちろん、必要のない情報は入れないです」
社長が必要なことだけを端的に伝えるようにしている。
「忙しいので、短く短く、ということを心がけていますね。メールでの連絡も多いですが、まずは結論をバーンと書く。それから理由を箇条書きで書く。瞬時に理解できるように長文はなるべく避けています。どうしても、というときには電話もしますが、なるべく電話よりも文字で見てわかるようにしています」