カルビー松本会長の「まわり」で働く
経営トップになる人は、ひと握り。多くは、エネルギッシュに動く経営トップに日々、振り回され、ビジョンを実現していこうと奮闘している人たちなのではないか。もしかすると、ビジネス書の読者は、そういう人にこそ、学ぶべきではないか。
そんな思いから上梓した拙著『社長の「まわり」の仕事術』(インプレス刊)。カルビー・松本晃氏、DeNA・南場智子氏、ストライプインターナショナル・石川康晴氏、隈研吾建築都市設計事務所・隈研吾氏、中川政七商店・中川政七氏、サニーサイドアップ・次原悦子氏の6人の経営トップのまわりで仕事をしている、13人にロングインタビューさせてもらった。
職種も、注目事業や海外事業の責任者、会長室、広報、CSR、社長、デザイナー、IT担当執行役員、社長室副室長、創業メンバーなどさまざま。かつてなかったコンセプトの本、まさに知りたかった仕事術だ、などと話題にしていただいているが、今回は13人のインタビューの中から、カルビーでフルグラ事業を率いる藤原かおりさんのケースをご紹介しておきたい。
「フルグラ」は300億円規模の事業に
カルビーは業績が絶好調だ。2013年3月期の売上高1794億円は、2017年3月期には2524億円に。5年で実に1.5倍。会社としての利益率も、1%台だったものが、わずか5年ほどで10倍以上になっている。
背景にあるのは、会社の変革。それを先導したのが、2009年に会長兼CEOになった松本晃氏だ。古い伝統的な体質を持っていたカルビーを「儲かる会社」へと大きく変えていった。
そして取り組んだのが、スナック菓子に次ぐ、新しい事業の柱づくり。その筆頭格ともいえるのが、「フルグラ」ことフルーツグラノーラ。1991年に発売、2000年代の10年間、売上高は30億円程度で推移していたが、それが今や約300億円と10倍もの規模になっている。
このフルグラの急成長を、松本氏のもとで2012年からマーケティング担当として担ったのが、藤原かおりさんだ。2014年には部長に就任。2017年には本部となったフルグラ事業を、執行役員フルグラ事業本部本部長として率いることに。トントン拍子で頭角を現して出世していったのだ。