デキる人は、何事も素早く決断できます。なぜそんなことができるのでしょうか。日本IBMでエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャーを務める木部智之氏は、「『判断』と『決断』は違う。即断即決をするにはコツがある」といいます。ムダなことを考えずにすむコツとは――。

※本稿は、木部智之『複雑な問題が一瞬でシンプルになる2軸思考』(KADOKAWA)を再編集したものです。

ムダなことを考える時間を減らす

よく経営戦略で「選択と集中」が重要だということが言われますが、これは思考においても同様です。

考えるときは、そこから重要なものだけを「選択」し「集中」して掘り下げていきます。

このとき一番良くないのが、「なんとなく全部を考えること」。これは、完全に時間のムダです。

思考できる時間が1時間しかないとしたら、

・ムダな検討にまで時間を費やすのか?
・効果の高い重要なことだけに集中するのか?

答えは明らかですね。

ムダなことを考える時間を減らすことによって、仕事の成果が大きく変わってきます。

「選択と集中」は、「ぬり絵」で考える

思考するときの「選択と集中」を考えるとき、私はよく「ぬり絵」のイメージを使います。

これは私が「2軸思考」と呼んでいる思考法のひとつでもあります。「2軸思考」とは、2軸(タテ軸とヨコ軸)を使って、さまざまな問題をシンプルに整理する方法です。

例えば、ある商品の東京、大阪、名古屋、福岡の売上データについて、「売上の伸び悩みをどう解決するか?」をテーマに考えなくてはいけない場合を例にしてみましょう。

ここではタテ軸を「事象、課題、アクション」、ヨコ軸を「東京、大阪、名古屋、福岡」の2軸を使って整理してみます。

2軸で表したときに、明らかに売上が伸びている大阪、名古屋については「考える必要がない」と判断し、課題とアクションをグレーにぬりつぶしました。

その結果、残りの東京と福岡の課題とアクションに「思考を集中する」という結論が導き出されます。

4都市をじっくり考えるよりも、2都市だけに絞って考えるほうが、単純に思考時間は半分になります。また、思考時間をそのままにするなら、2都市について、じっくり時間をかけて深掘りすることができるということです。

ここにあげたのは、かなり単純化した例ですが、現実にある複雑な問題を考えるときも、基本は、これと同じです。

2軸で表した図の中で、いま考えるべきではない枠をグレーでぬりつぶしていけば、枠の中に重要度の濃淡がつき、考える必要のない部分が「見える化」されていくのです。