評価する側も、評価される側も納得できる「人材評価」をするには、どうすればいいのでしょうか。日本IBMでエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャーを務めていた木部智之氏は、「2軸思考を使えば『プレイヤー』か『リーダー』か、ということも、必ずフェアに評価できる」といいます。 その具体的な方法とは――。

※本稿は、木部智之『複雑な問題が一瞬でシンプルになる2軸思考』(KADOKAWA)を再編集したものです。

「好き嫌い」を排除した人材評価をするには?

テストの点数で客観的に順位をつけることができた学校とは異なり、会社組織では、ある人のことを「あの人は優秀だ」と言う人もいれば、「いや、人を動かすのが苦手だからダメだよ」と言う人もいて、困難をきわめます。

組織で働いている以上、人を評価しなくてはいけない場面が必ずありますが、ついつい主観が混ざり、曖昧な部分を完全に払拭することは難しいです。

実は、このようなときに「2軸思考」を使うとフェアな評価をすることができます。

「2軸思考」とは、タテ軸とヨコ軸の2本の線を引いて枠をつくり、そこで複雑な問題を整理していく方法です。

例えば、あなたが、業績がかんばしくない組織の新任マネジャーにアサインされたとしましょう。

上司からは「早々に組織を立て直してくれ」と言われています。しかしあなたは、その組織にいる20人の部下がどのようなスキルを持っているのかわからない状況です。

この状況で、「2軸思考」を使って人材評価をすることを考えてみましょう。

マトリクスタイプの2軸で、評価を「定量化」する

まず、ゴールが「組織(チーム)の立て直し」ということであれば、「(1)現在のメンバーの能力を把握」して、さらに中長期的には「(2)メンバー育成も考える」必要があります。

1つめの「(1)現在のメンバーの能力を把握」ですが、マトリクスタイプの2軸で整理して、メンバーのスキルを定量的に評価します。

タテ軸は20人の「メンバー」で、ヨコ軸に「評価すべきスキル」を書き出します。

例えば、私が携わっているシステム開発の場合は、「ITスキル」「管理スキル」「リーダーシップ」「コミュニケーション」「英語」などのスキルが考えられます。

それらについて、5段階評価で採点して記入していきます。

このケースでは、新任の自分は新しい部門メンバーのスキルがわからないので、他の誰かに採点を行ってもらいます。

自分で採点できる場合は自分で行いますが、より客観的にするには他の人にその点数を見直してもらうのがいいでしょう。複数の人が主観的にチェックをすることで、客観的な定量評価に近づけられるようになります。