※本稿は、木部智之『複雑な問題が一瞬でシンプルになる2軸思考』(KADOKAWA)を再編集したものです。
「問題」を自分でさらに複雑にしていないか?
「木部さん、大変です! ヤバそうなトラブルが発生しました。なんとかして、期限は間に合わせたいのですが、どうしたらいいでしょう?」
メンバーが真っ青な顔をして、慌てた様子でプロジェクトマネジャーである私のところに相談にやってくる……。
私の携わっているシステム開発では、よくある光景です。
トラブルや緊急事態というのは、それが複雑であればあるほど、困難であればあるほど、その人の本質が問われる場面です。
こうした究極の局面で、「慌ててパニックになってしまう人」と「落ち着いて対応してトラブルを解決に導ける人」とでは、いったい何が違うのでしょう?
生まれ持った頭の良さでしょうか?
あるいは経験の豊富さでしょうか?
もちろん、そうしたことが違いになることあります。
しかし、最も重要な違いは、「ロジカルに考えているかどうか」です。
トラブルに遭遇すると、途端に平常心を失ってしまう人がいます。
そして、普段は普通に判断できることが判断できなくなったり、自分で問題をより複雑にしてしまうのです。
そうしないために必要なのが、「ロジカルな思考」です。
「ロジカルな思考」を具体的に言うと、「問題の全体を俯瞰して捉えているか」「複雑なことを、シンプルにしてから考えているか」ということになるでしょう。
頭がいい人とは、複雑な問題をシンプルにできる人
どんなに難しい仕事も、よくよく見てみれば、基本的な仕事の応用形であり、変化形です。
絡み合った物事をシンプルにして問題の本質を見抜くことができれば、おのずとその解決策を見つけることができるはずです。
つまり、「本当に頭のいい人」というのは、複雑な問題を「複雑なまま解くことができる人」ではなく、複雑な問題を「誰でも解けるくらいの簡単なレベルまで分割できる人」なのです。
例えば、突発的なシステム障害が起こった場合――私の仕事(システム開発)は、システムトラブルが付きものです。システムというのは、ビルや橋と違って、目に見えないもので、そのシステムがトラブってしまうと、原因をつかむのが難しいことが多々あります。 エラーのログ(履歴)を見れば、すぐにわかる場合もありますが、必ずしもそうでもなく、まったくもって何が起きているのかがわからないこともあります。