全体像をとらえるからこそ、即断即決が可能になる

「これは考えない!」と切り捨てることが、ちょっと不安だという人もいるかもしれませんね。

ですが、初期段階で全体を捉えた上で、思考の範囲の「選択と集中」をしているので、不安に思う心配はありません。

2軸のフレームワークを使わずに思考すれば、「考慮モレがあるのではないか」「想定外のことが起きないか」という不安が残るかもしれませんが、2軸思考で考えてからの判断であれば、「これで判断が間違っていたならばしょうがない」「考えうることは考えた」という自信を持つことができるはずです。

木部智之『複雑な問題が一瞬でシンプルになる2軸思考』(KADOKAWA)

話は少しそれますが、「判断」と「決断」は違います。

「判断」とは、右がいいのか左がいいのか、状況やデータから「考える」こと。例えば、A~Eの5案あったら、それらのうちのどの案が最適かを検討することです。

一方、「決断」とは、「明確な意思を持って決める」ことです。右と左で右のほうがいいだろうと「判断」したあとに、右に行く! と「決断」するのです。

「決断」には勇気と覚悟が必要で、責任が伴います。人間誰しも本当に右でいいのか、実は左のほうがいいのではないか、といった不安にかられます。そして、右に行こうが左に行こうが、その結果責任は決断した人にあります。だからこそ、決断には勇気と覚悟が必要なのです。

その決断をするときに、「ここまで考えたのだから……」という後ろ盾となってくれるのが、2軸思考なのです。

決断することに苦手意識のある方は、ぜひ、2軸思考のアプローチを取り入れてみてください。

木部 智之(きべ・ともゆき)
日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャー。横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年に日本IBMにシステム・エンジニアとして入社。2017年より現職。著書に『複雑な問題が一瞬でシンプルになる2軸思考』『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』(以上、KADOKAWA)がある
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