本当にヘルシーな料理は何か。糖尿病専門医の牧田善二さんは「『和食はヘルシーだ』と単純には考えないほうがいい。研究者の近藤正二氏は、990の町村を訪ね歩き、人々の生活習慣や健康状態を確かめた結果、短命に終わる人が多い村には食生活の共通点があることがわかった」という――。

※本稿は、牧田善二『すごく使える栄養学テクニック』(日本実業出版)の一部を再編集したものです。

伝統的な和朝食
写真=iStock.com/Tamiko Ihori
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「白米をたくさん食べている村の人々は短命」

「和食はヘルシー」だからと、和食を選んだことはありますか? 

油を多用しない低カロリーな料理、季節の食材をふんだんに使った料理のイメージから、そう思う人も多いのではないでしょうか。また、「ダイエット中には中華料理やイタリアンを避けることはあっても、和食なら食べても罪悪感がない」と思う人もいるかもしれません。

たしかに和食には、健康に良い影響を与えるといわれる魚や海藻類、野菜や発酵食品が多く含まれています。また、日本人は他国民に比べて肥満の人が少なく長寿の傾向にあることも、「和食はヘルシー」という印象の原因になっていると考えられます。

しかしながら、「和食はヘルシーだ」と単純には考えないでほしいのです。たとえば、糖質が多い白米や塩分が多い漬物は、残念ながら健康的な食べ物ではありません。漬物以外にも、味噌やしょうゆなどの調味料、干物などのおかずでも、簡単に塩分過多になります。

このことに早くから気づいていた、近藤正二氏というすばらしい研究者がいます。東北大学の名誉教授だった近藤氏は、1935年から36年間、リュックサックを担いで険しい山道を上り下りしながら990の町村を訪ね歩き、人々の生活習慣や健康状態を確かめていきました。

その結果、「白米をたくさん食べている村の人々は短命だ」という結論に行き着き、その研究内容を『日本の長寿村・短命村』(サンロード出版)という名著にまとめました。