「のどが渇いてからの水分補給」では遅い
私たちが飲み慣れている日本の水はたいてい軟水ですが、ヨーロッパのミネラルウォーターには硬水も多く、飲んでみるとその個性を感じます。
水の「硬度」は、「1リットル中に含まれるカルシウムとマグネシウムの量(単位はミリグラム)」で示されます。日本では、0~100ミリグラムを「軟水」、101~300ミリグラムを「中硬水」、301ミリグラム以上を「硬水」と分類しています。
東京の水道水はだいたい60ミリグラム程度の軟水、「エビアン」は304ミリグラムで硬水となります。とくに硬度が高い「コントレックス」は1468ミリグラムもあり、そのため「飲みにくい」と感じる人も多いようです。ミネラルウォーターなら、軟水でも硬水でもかまいません。あなたにとって飲みやすい水を探してみてください。
なお、「のどが渇いた」と感じる前に水を飲むことが大切です。夏場において、のどの渇きを感じたときは、すでに熱中症になりかけている危険性があります。
たとえば1時間ごとにコップ1杯の水を飲むと決めてしまうのも良いでしょう。飲み忘れないように、スマホのタイマー機能などを使えばベストですし、時間ごとにメモリがついたボトルなども活用し、水分補給しやすい仕組みをととのえることをおすすめします。
「スポーツドリンクで熱中症予防」の落とし穴
暑さが厳しくなると、「水分補給をして熱中症予防をしよう」とスポーツドリンクに手が伸びることも多くなるのではないでしょうか。こうした飲料が「水よりも水分補給に適している」とよく飲まれているのは、「塩分と糖分が含まれている飲み物のほうが、体液として体内に残る」と思われているからです。
しかし、それも適量であることが大前提。たくさん飲めば、塩分も糖分も摂りすぎます。しかも液体ですから、消化の時間がかからず、血糖値の急上昇につながります。健康のために良かれと考えてガブガブ飲んでいた結果が、糖尿病につながりかねないのです。
また、それら市販の飲み物には、味をととのえるさまざまな添加物も入っています。よけいな添加物を摂ることは、健康維持のためにマイナスです。
最近では、学校の部活動でスポーツドリンクを多飲していた中学生が高血糖のためにめまいで倒れ、救急車で搬送された事例が報告されています。こうしたケースを「ペットボトル症候群」(医学的には清涼飲料水ケトーシス)と呼び、専門医の間で問題視されています。
血糖値は、少しくらい高いくらいでは痛くもかゆくもありませんが、300mg/dL(ミリグラム・パー・デシリットル)を超えるようになると、意識障害が起きる危険ラインです。
この中学生の場合、倒れたときには、すでに重症の糖尿病を発症していることになり、大変に憂慮される状況です。スポーツドリンクで熱中症予防はできないばかりか、別の問題も引き起こすことになります。

