モノを減らせばお金と時間の無駄が減る

かつての私は「モノに支配されていた側」の人間でした。幼い頃は欲しいものが何でも手に入る裕福な家庭で育ちましたが、父の自己破産で状況は一変し、家の中はお金の不安でいっぱいになりました。

フリーターとして働いていた頃の私は「欲しいものが買えない自分は不幸だ」と思い込み、ずっとお金に縛られて生きていました。そんな私の価値観を大きく変えたのが、ミニマリズムとの出合いでした。

ミニマリズムとは、必要最小限のものだけを残し、本当に大切なことに集中するための生き方です。モノを減らすことで、お金や時間の心配から離れ、自分の人生を取り戻すことができます。

たとえば、クローゼットを埋め尽くす服を捨て、コートやバッグが占領しているソファを捨て、ガラクタとそれが積まれたデスクを捨てれば、2LDKに住んでいる人は、コンパクトな1LDKに引っ越せるかもしれません。

荷物が減るほど、住まいの選択肢は広がります。モノが少なければ、これまでより狭い部屋でも不便なく暮らせるようになり、家賃という固定費を大きく下げることができます。たとえば、家賃を4万円安くできれば、年間48万円の自由資金が生まれます。

多くの人は「部屋は広いほうがいい」と思い込みがちですが、それは幻想です。アメリカでは持ち物を減らして小さな家で暮らす「タイニーハウス」が広がり、日本でも「小さな暮らし」への関心が高まっています。狭い部屋に住めれば家賃を抑えられ、好きな場所を選びやすくなり、掃除の手間も減ります。浮いたお金と時間は、そのまま生活の余裕になります。

コーネル大学のロバート・H・フランク教授は『幸せとお金の経済学』で「小さい家や車を選び、その差額を見栄以外の用途に回したほうが幸福度は高い」と述べています。見栄は人間の本能的な部分ではありますが、家や車など「ステータス」にお金を費やすほど幸福度は下がるという研究結果です。私にとって、身軽であることは不安材料ではなく、むしろ最強の生存戦略です。部屋が小さいほど、生活にも心にもゆとりが生まれます。

私はユーチューブで、依頼のあった人の家を一緒に片付ける「モノ減らしコーチング」という企画をやっています。その中で、1部屋分のゴミを捨てて、より家賃の安い部屋に移れた例を何度も見てきました。都心に近づき通勤時間を短縮できた人もいます。固定費が下がり、費やさざるをえなかった時間が少なくなることで、生活は一気に身軽になります。

もし、私自身がいま引っ越しをするとしたら、軽トラ1台で十分です。いちばん大きい荷物はドラム式洗濯機で、デスクやベッドは折り畳めるものを使っています(以前は床に毛布を敷いて寝ていました)。冷蔵庫は持っておらず、食材は近所のスーパーでその日に食べるぶんだけを買って使い切ります。場所を取るテレビもなく、本も電子書籍に切り替えたので、本棚を置く必要もありません。

住まいに縛られず、時間にもお金にもゆとりが生まれる。これが、モノを減らすことで手に入る最初の自由です。