ミニマリズムというと、「極端にモノを減らしていくストイックな生活」を想像してしまうかもしれない。しかし本来は、「人生の悩みを解決し幸福度を高める手段」なのだ。モノを手放して人生が変わったというミニマリストに話を聞いた――。

人間関係を増やしても充足感は得られない

若い頃の私は「お金を稼げるようになれば安心できる」「安心できれば自然と幸せになれる」と信じていました。だからこそ、目の前の仕事にひたすら向き合い、がむしゃらに働きました。

年齢を重ねるにつれて、以前ほどお金の心配をしなくても暮らせるようにはなりました。生活は安定し、将来に対する漠然とした不安も減りました。しかし、期待していたような充足感は訪れませんでした。ある程度、人生の先が見えるようになってふと立ち止まったとき、「あれほど必死になっていたのは、結局何のためだったのだろう」と、心にぽっかり穴が空いたような虚しさを覚えたのです。

振り返ってみると、私が追いかけていたのは「幸せそのもの」というより、「不幸にならないための安心感」だったのかもしれません。人類が狩猟採集をしていた頃からの本能でしょうか。私たちは「不安」を消すために稼ごうとします。しかし、食料と違って「お金」による安心感には「ここまであれば十分」という限界がありません。稼げば稼ぐほど、また別の不安が顔を出す。その「無限ループ」の中で疲弊していたことに気づいたのです。そこで、私は発想を転換しました。