※本稿は、木部智之『入社1年目のビジネススキル大全』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
相手のアクションが得られないのは「伝わっていない」証拠
仕事におけるコミュニケーション(情報伝達)は、相手にきちんと意図が伝わらないと意味がありません。
この「伝わる」とはどういうことか、考えてみましょう。
ビジネスでのコミュニケーションには、必ず目的があります。その目的とは、「相手に何かをしてもらう」ことです。
すなわち、「資料をつくってもらいたい」「報告を理解して、対策を打ってもらいたい」「3つの案のどれでいくか、判断してもらいたい」など、相手に何らかのアクションを期待して、コミュケーションをとるのです。
コミュニケーションが成立したという状態は、相手がこちらの望むアクションを実行してくれること。逆に、「伝えた」けれどもアクションしてくれなかったならば、それは「伝わっていない」ということなのです。
よく職場で、「メールしたのにやってくれない」「説明会を実施したのに理解していない」「指示したものと全然違うものが出てきた」といったグチを聞くことがあります。
当人からすれば、動いてくれない相手が悪いと思いがちですが、実は自分のコミュニケーションスキル不足を露呈しているにすぎません。
よくよく聞いてみると、メールがとても読みきれないような長文になっていたり、誰が聞いても要領を得ないようなグダグダの説明会だったりということがほとんどです。
もちろん、コミュニケーションの受け取り手に問題があることも多々あります。しかし、そのことで不利益を被るのは、結局、発信者であるあなた自身です。それも含めて、発信者がコミュニケーションの結果責任を負うべきなのです。
必要以上の時間をかけない、最適な「ツール」を選ぶ
情報を確実に伝えるためには、まずは最適なツールを選ぶことが大切です。コミュニケーションのツールとは、口頭、電話、メール、チャット、資料、プレゼンなどです。
同じフロアにいるから、メールやチャットでなく口頭で伝えたほうが早いとか、逆に、依頼した作業を忘れられないようにメールやチャットで連絡するなど、状況や目的に応じた最適なツールを選びましょう。
最適というのは、コミュニケーションの目的を果たし、かつ、必要以上に時間をかけすぎないということです。
以前、5分の口頭説明で理解できる内容を、10枚もの資料で30分もかけて説明されたことがあります。内容はわかりましたが、これではお互いに時間のムダ遣いです。その時間はほかの仕事に費やしたほうがいいでしょう。