「百聞は一見に如かず」図を使って脳内変換をゼロに

人間の脳は、読んだり聞いたりした言語情報を頭の中でイメージ(画像)に変換して理解します。逆に自ら発信するときは、頭の中の記憶や思考のイメージを言語情報に変換して説明しています。

この「イメージ」と「言語」の変換作業には人によるバラツキがあり、同じ言葉を聞いても違うイメージを描くことがあります。

「丸を3つ書いてください」という指示を受けても、3つの丸の書き方は人によって違うでしょう。この変換ギャップがコミュニケーションミスになるのです。仕事でのコミュニケーションは、もっと複雑で難しいものばかりです。

込み入った議論をしていると、少し上のほうを見ながら考え込むことがあると思います。そのとき、私たちは脳内で言語とイメージの変換作業をしています。

ここで、発信者と受信者の間で変換ギャップが生じることで、大きな認識齟齬そごとなってしまうのです。

正確なコミュニケーションをするためには、この変換ギャップをゼロにすることをめざしましょう。そのためには、言葉や文章で伝えるよりも図(イメージ)で伝えたほうが、より速く、より確実に伝わります。まさに、「百聞は一見に如かず」です。

文字ではなく、イメージで伝えると理解が早い

さて、図表3のニュース原稿を読んでみてください。理解するのにどれくらい時間がかかるでしょうか。

これをグラフにすると、図表4のようになります。

いかがでしょうか。文字原稿で読むよりも、イメージでとらえるほうが理解が早かったのではないでしょうか。

私が図を使ってコミュニケーションをするようになったのは、海外の現地メンバーと仕事をしたことがきっかけです。母国語が違う者同士でのコミュニケーションミスを防ぐため、図を使ったのです。

しかしあるとき、この方法は日本人同士でも有効なことに気づきました。

図は、言語の壁を超えた「世界共通のコミュニケーションツール」です。すべての情報は、表やグラフ、イラストなどの図に変換できれば、言語がなくても理解することができます。

そのため、私は職場では、コピー用紙とペンを常備し、メンバーと会話する際、いつでも図解できるようにしています。