若者を中心に「テレビ離れ」が進んでいる。医師の和田秀樹さんは「テレビは『オワコン』と言われるが、依然として圧倒的な影響力を持っている。特に日本のSNSはテレビの論調に追従し、多様な視点や冷静な検証が失われている」という――。
※本稿は、和田秀樹『「高齢者ぎらい」という病』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
「テレビはオワコン」と言われるが…
SNSが発達したこともあり、「テレビで言っていることは信用できない」という声は確かに上がり始めています。「オワコン」(=「終わったコンテンツ」、すでに時代遅れになったという意味)などと揶揄する声も多く聞かれるようになりました。
しかしそれでも、テレビはまだその影響力を失ってはいません。「年配層はいまだにテレビばかり見ているから」などとよく言われますが、それ以上の理由は、日本のSNSが本来の「健全な批判装置」として機能していないことにあると、私は思っています。
本来であれば、テレビが画一的な価値観で一方的に誰かを叩き始めたとき、「本当にそうなのか」「データを見れば違うのではないか」と冷静に指摘する声がSNS上にもっと多くあっていいはずです。
ところが日本のSNSの場合、そうした意見は目立つように見えるだけで、実際は圧倒的に少数派です。むしろ、テレビの論調に呼応して一緒に叩き始めるのがこの国のSNSの特徴で、テレビの報道を号令にSNSが盛り上がる、というのがいつものパターンなのです。
テレビが悪者と決めつけた瞬間、攻撃対象に
たとえば、『週刊文春』のような週刊誌がどれだけセンセーショナルに報じたことでも、テレビで取り上げられないことは「存在しないこと」あるいは「真偽不明のこと」のように扱われます。
ところがひとたびテレビが悪者と決めつけた瞬間から、その相手はいくらでも叩いていい存在になります。
旧ジャニーズ事務所の問題の扱いはその最たるものでしょう。そんな中で逆の意見を述べようものなら、その人まで総攻撃を受ける。結果として、誰も異論を唱えなくなり、「思考の多様性」がどんどん失われていくのが今の日本の現実です。

