ビジネスで有用なスキルとはどんなものか。プロジェクトマネージャーの木部智之さんは「だいぶ、かなり、できるだけ早く、といったビッグワードは仕事で使わないほうがいい。抽象的な表現に逃げず、具体的な表現に言い換えられるように、ビジネス上のさまざまな数字を把握することを心がけるべきだ」という――。

※本稿は、木部智之『入社1年目のビジネススキル大全』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

オフィスで肩をたたく笑顔のビジネスマン
写真=iStock.com/Viacheslav Peretiatko
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「結論→理由・根拠」の順番でテンポよく話す

ビジネスにおけるコミュニケーションでは、映画や小説のように導入から徐々に盛り上げて、最後の最後にクライマックス(結論)を話す必要はありません。

基本は、「結論ファースト」です。すなわち、最初に結論を伝えて、その後に理由と根拠を話すようにするのです。

例えば、こんな感じです。

「A、B、C3つの案を検討しましたが、今回はB案を採用しようと思います。理由は、導入効果が高かったからです。A案とC案は、効果がじゅうぶんでなく、コストがかかりすぎるというデメリットがあります」

このように、最初に結論を言ったほうが、話の方向性が見えるので、聞き手は安心してその後の話に集中することができます。

ビジネスコミュニケーションにおける聞き手は、たいていの場合「せっかち」だと思っておくといいでしょう。せっかちだから、結論から先に聞きたいのです。

この傾向は、役職が上がるほど強くなります。役職が上がると、短い時間で多くのことを判断しなければいけなくなるので、先に結論を聞きたい、と思うようになるのです。また、数々の経験を積むと、結論を聞けばだいたいの理由と根拠が推測できるようになるという側面もあります。

「結論は○○○です」
「その背景と理由は△△△です」

と、テンポよく説明しましょう。

30秒で話す「エレベーター・ピッチ・トレーニング」

「結論ファースト」の話し方を習得するために、いいトレーニングがあります。それが、「エレベーター・ピッチ・トレーニング」です。

「エレベーター・ピッチ」とは、エレベーターに乗っている15秒や30秒といった短い時間で自分の意見を的確に伝えるプレゼン手法で、米国のシリコンバレーが発祥の地といわれています。

シリコンバレーには、多くの起業家や投資家が集まっています。

そのような激しい競争の地で、起業家が投資を得るには、長々と話しても相手にしてもらえません。そこで、わずかな時間で相手の関心を引く手法としてこのエレベーター・ピッチが注目されたのです。

このスキルは、練習をすればすぐに向上します。おすすめは、実際にエレベーターに乗ったときに、イメージトレーニングをすることです。

エレベーターに乗る前に、「昨日の状況を報告する」「今日の予定を説明する」などと自分でテーマを決めて、目的階に着くまでの短い時間を使って、頭の中で説明してみるのです。

このトレーニングを繰り返すと、驚くほど説明スキルが上達します。さらには、メールも端的にわかりやすく書けるようになります。