※本稿は、野口悠紀雄『「超」書く技術』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
10年前より増大した「文章を書く機会」
文章を書く力は、どんな仕事を行う場合にも重要です。これまでもそうでしたが、その重要性が高まっています。これまで電話で連絡していたことを、メールで連絡する場合が増えているからです。
文章を書く機会は、10年前と比べても劇的に増大しています。しかも、口頭での伝達とは違って文章の場合には、その人の知的水準や能力があからさまに現れてしまいます。
メールは毎日何通も書いているので、書く力を毎日のように評価されていることになります。メールの文章を通じて、一般的な能力を評価されているのです。仕事環境は、大きく変わりました。
文章力が低下している…
文章の重要性が増しているにもかかわらず、文章を書く力が落ちています。
これは、ツイッターなどのSNSの影響も大きいと思われます。これらの多くは匿名で書けるため、不正確な文章を気楽に書いてしまうからです。あるいは、親しい友達に対するメールです。絵文字などを使い、話していることを単に文字にしただけのものです。
このような文章を書くことに慣れてしまうと、そうした文章が普通の文章だと思うようになります。そして、仕事でも、それと同じような文章を書くことになってしまうのです。
対面で話している場合には、敬語の使い方を間違えてもあまり気になりません。しかし、文章では大変気になります。重要な取引相手に対して敬語を間違えれば、社会人失格の烙印を押されてしまうでしょう。