「書く力をつける」のは難しくない

では、文章力をつけるには、どうしたらよいでしょうか?

野口悠紀雄『「超」書く技術』(プレジデント社)
野口悠紀雄『「超」書く技術』(プレジデント社)

これは、それほど難しいことではありません。物理学で新しい発見をしたり、数学の難しい定理を証明したりすることに比べれば、ずっとやさしいことです。特別の才能はいりません。誰にでもできることです。

書く力が衰えるのは、「日本人だから、日本語ぐらいは書ける」と考えて、格別の訓練をしないからです。

人々を感動させる文章や、格調高い文章を書く必要はありません。考えていることを、正確に、分かりやすく伝えることができればよいのです。このための訓練を、日々続けてください。

なお、学校では文章力の教育は簡単にはできません。そこで、自分で学ぶのがよいでしょう。つまり、独学で文章力をつけるのです。

文章力はあなたの味方であり、最強の武器

「文章を書くのは苦手だ」と考えている人が多いかもしれません。「必要に迫られなければ書く気にならない」という人も多いでしょう。

文章を遠ざけていると、書く力はなかなかつきません。そして、文章を書くことがますます億劫おっくうだと考えるようになってしまいます。

こうした人は、文章を敵だと考え、なるべく近づかないようにしているのです。その結果、文章があなたからますます遠ざかってしまいます。

発想を切り替えて、「文章は自分の味方であり、最強の武器だ」と考えてください。そして、積極的に文章を書くのです。

すると、文章力が自然に鍛えられて、文章を書くことが楽しみになります。そうなれば、文章力がさらに向上するでしょう。

このように、文章を敵と考えるか、あるいは味方と考えるかは、大きな違いをもたらします。文章は、敵ではなく、あなたの味方なのです。