「最適」「迅速」曖昧な“ビッグワード”は使わない
ビッグワードとは、解釈の範囲が広すぎて、受け取る人によって理解が変わってしまうような曖昧な言葉、抽象的な言葉のことです。
あなたが先輩から、「その問題について、最適な解決策を検討し、迅速に対応してください」と言われたらどうでしょうか。具体的に何をしていいかわからないと思います。また、聞いた人によって解釈が変わってくる可能性もあります。「最適って何?」「迅速ってどれくらい?」と思ってしまう言葉がビッグワードです。
「最適な解決策」「迅速な対応」などの言葉は、耳当たりはいいのですが、実は具体的なことは何も伝えていない言葉の典型です。
「最適」とは何をもって最適と判断するのか、「迅速」とはどれくらいの速さなのか、などを明確に発信することが必要です。
そのほかのビッグワードとしては、
・早めに、前向きに、できるだけ、かなり、もう少し
・頑張る、意識する、注意する、貢献する
などがあります。
職場で注意して聞いていると、「かなり」使われている言葉だと思います。今、私が「かなり」と使ったように、ビッグワードは便利な言葉です。便利で楽だからこそ、つい使ってしまうのです。
情報の受け取り手によって解釈に幅が出るということは、期待する結果にならない可能性が高い、ということを意味します。コミュニケーションの目的は、「自分が求める結果を得ること」でしたね。
求める結果が得られないコミュニケーションは失敗です。「何も言ってないのと同じ」と心得ましょう。
数字を意識して「具体的」な表現に言い換える
では、ビッグワードを使わないようにするには、どうすればいいのでしょうか。それは、抽象的な表現に逃げることなく、具体的な表現に言い換えるということです。
「早めに調査結果を提出します」ではなく、「水曜日までに調査結果を提出します」と言うのです。
このように、誰が読んでも同じ解釈にたどり着く言葉に置き換えていくことで、確実なコミュニケーションにつながります。
さて、あなたが、部下の報告を聞く立場だったと仮定しましょう。
次のどちらの報告を聞きたいですか。
B「今年は、去年よりも売上が15%落ちています。その中でも九州エリアは5%伸びていますが、関東エリアは18%も落ち込んでいます。4月末までに原因を分析して、5月から対策を打つように進めます」
Aは「だいぶ」「かなり」「できるだけ早く」といったビッグワードが多用されているのに対し、Bは「15%」「4月末まで」などの具体的な数字で語られています。明らかにBの報告のほうに聞きたいと思わせる内容があり、説明もわかりやすいでしょう。