東京・山谷や大阪・釜ヶ崎の日雇い労働者と何が違うのか
アプリ上で単発のバイトを探し、給与の即日払いもOKというスポットワークで働く人が急増している。数時間働くだけでもよいので“スキマバイト”とも呼ばれている。
スポットワーク事業者で組織するスポットワーク協会によると、登録会員数は2023年3月末時点で約990万人だったが、24年3月末時点で約1500万人、9月1日時点で約2500万人。うなぎ上りで急増中だ。
複数の事業者に登録している人もいるのだろうが、日本の就業者数6813万人(2024年)の37%を占めることになり、にわかに信じがたい数字の大きさである。
業界大手はCMに女優の橋本環奈を起用しているタイミーをはじめ、シェアフル、ツナググループ、ワクラク、メルカリハロ、LINEスキマニ、ショットワークスなどがある。
これらの事業者はデジタルプラットフォーム上で求人事業者と働き手をマッチングさせ、仕事が決まると賃金30%といった手数料(事業者によって異なる)として受け取る。
事業は「短時間・単発の就労を内容とする雇用契約の仲介事業」(スポットワーク協会)と定義し、同じスポットワークでもウーバーイーツのような業務委託契約で働くフリーランスではなく、求人事業者と雇用契約を結ぶ労働者という位置づけだ。
こうした短時間や1日だけ働く雇用仲介といえば、かつて東京の山谷や大阪の釜ヶ崎のドヤ街(簡易宿泊所)に暮らしていた日雇い労働者を想起してしまう。
スポットワーク協会は「日雇の雇用仲介事業は定義に含まれるが、基本的には、その中でもデジタル技術を用いて『短時間・単発の就労』として時間単位又は1日単位の雇用契約を仲介する事業を念頭に置いている」(スポットワーク雇用仲介ガイドライン)と述べている。スポットワーカーはいわば“デジタル版日雇い労働者”と呼んでもいいだろう。
それにしてもなぜスポットワークで働きたいという人が急激に増えているのか。