※本稿は、八木雅之『老けない食べ方の新常識』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
なぜ「トンカツにはキャベツ」が添えられているのか
カルボナーラやサーロインステーキ、ミックスピザ、カツカレー、グラタンや焼きおにぎり、揚げ物などは一般にAGEsが多く、「食べないほうがいい」という専門家もいます。
しかし、私たちの体は、食事から害となるものをとり込まず、万が一摂取しても、排出しようとするしくみを持っています。過度に心配する必要はありません。
最近の研究では、不溶性の食物繊維には、食品中のAGEsを吸着する作用があることがわかってきました。不溶性の食物繊維は、ゴボウやほうれん草、ニンジン、ブロッコリー、カボチャ(皮つき)、そしてキャベツなどに豊富です。これらの野菜を食べておけば、食品中のAGEsはますます気にする必要はなくなります。
しかも興味深いことに、不溶性の食物繊維は、AGEsの仲間でありながら体によい働きをするメラノイジンは吸着しにくいことがわかりました。
そう考えると、トンカツにキャベツを添えるという組み合わせは、じつに理に適った食べ方です。揚げ物にはAGEsが含まれますが、キャベツを一緒にとることで、不溶性食物繊維がAGEsを腸内で吸着し、便として排出してくれるのです。
キャベツは揚げ物を食べる際の「いいとこどり」を可能にする
さらに、キャベツにはビタミンUという特有の成分が含まれています。ビタミンUは、胃腸薬で有名な「キャベジン」の有効成分でもあります。ビタミンUには胃粘膜を守り、傷ついた胃壁を修復する作用があります。私たちの体は、加齢とともに胃酸や消化酵素が減り、油脂の分解に時間がかかるようになります。揚げ物を食べると胃がもたれるのは、そのためです。キャベツはその不快感を和らげてくれるのです。
とはいえ、胃もたれは必ずしも悪い症状ではありません。胃に食べ物が長くとどまれば、その分、糖の吸収が緩やかになって、血糖値の急上昇を抑えられるからです。
結果、胃もたれが起こっているときにはアルデヒドスパークが起こりにくいのです。
しかし、胃もたれはつらいもの。そこでキャベツを添えると、胃もたれの不快感を和らげながら、食物繊維の働きで糖の吸収はさらに緩やかにできます。キャベツは揚げ物を食べる際の「いいとこどり」を可能にしてくれる野菜なのです。


