スケジュール欄が常に埋まっているビジネスパーソンは有能である。そう考える人は多いかもしれません。ですが、「超整理」シリーズなどで知られる野口悠紀雄氏は、「スケジュールに白い部分がなければ、重要な仕事はできない」と言います。野口氏が「大きな成果をあげようとするときに求められるのは、空白の時間をつくる能動的なタイムマネジメントである」と提唱する理由とは――。

手帳の空白を死守せよ!

多くの人は、手帳に予定がぎっしり入っていないと、自分が社会から必要とされていないように思えて、不安になります。しかし、スケジューリングでは、「いかにして白くするか」を考えることが大切なのです。

手帳に入る予定の多くは、会議や面談、打ち合わせなど、誰かに時間を合わせる受け身の予定ではないでしょうか。そうなると、予定が入れば入るほど、主体的に使える時間が減っていくわけです。つまり、時間泥棒に自分の時間を盗まれていることになります。

「超」整理手帳 スケジュール・シート スタンダード2018

スケジュールがぎっしり埋まっているビジネスパーソンは有能と思われがちですが、実際は逆です。ひたすら受け身の予定をこなして時間を費やしている人です。そうした人が、腰を据えて取り組まなければならない重要な仕事ができるでしょうか。重要な仕事を遂行するためには、主体的に使えるまとまった時間、つまり白いままのスケジュール欄を確保しなければならないのです。

私の場合、最も重要な仕事は本を書くことです。本一冊の執筆に2~3カ月はかかりますから、打ち合わせなど執筆以外の仕事は入れないようにして、手帳に一定期間の空白を死守します。

もちろん、その人が置かれている立場によって、自分のために確保できる時間には違いがあります。しかし、「手帳は白くすべきだ」と認識し、白い部分を確保することが大切なのです。

旅に出て、空白の時間をつくる

経営者など人の上に立つ人は、手帳を白くしなければいけません。

私はある出版社の企画で、アメリカのベストセラー作家、故マイケル・クライトン(『アンドロメダ病原体』『ジュラシック・パーク』など)と対談したことがあるのですが、そのときに彼は、1年に1回は一人で海外旅行をすると言っていました。彼は旅によってつくる空白時間で、思考していたのでしょう。