「どっちもあっているが、どっちも間違っている」

自民党と希望の党の選挙公約の違いがわかりにくい。韓国紙は「誰が勝とうと『右向け右』」などという見出しをつけていた(中央日報日本語版<「小池vs安倍」の対決構図…誰が勝とうと「右向け右」>)。

ただ、消費増税をめぐる両党の立場の違いは鮮明だ。安倍晋三首相は10%への増税を前提に、増収分のうち2兆円を教育無償化などに充てるとする。かたや小池百合子都知事は「個人消費は冷え込んでいる」として増税を凍結する方針だ。

この公約について第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは「どっちもあっているが、どっちも間違っている」と指摘する。

「前回の2014年の増税は、アベノミクスによる好循環が起きる間もなく拙速なタイミングで行われてしまい、景気回復を阻害するものとなりました。増税を前提にするのではなく、景気条項を設け増税のタイミングを慎重に判断すべきです。一方の増税凍結との主張には、子育て世代の社会保障充実のための財源をどうするのか疑問を感じます」(永濱氏)

増税予定の19年10月というタイミングにも注意すべきだという。

「オリンピック特需がピークアウトし、景気が後退局面に入る恐れがあります。なおのこと、増税に対して慎重な議論をすべきです」

有権者はどう判断するのか。

(図版作成=大橋昭一)
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