上司や、取引先の話を聞いていて、どうにも眠くなってしまう。よくあることですが、そこで眠りこけてしまっては大変です。睡眠不足が大敵なのはもちろんのことですが、体調の問題以外にも、心理学的なアプローチから、どうにか対応する方法はないものでしょうか。

それを考える前に、まずは眠気が起こる生理的な理由を簡単におさらいしましょう。睡眠するときには、副交感神経が作用します。リラックスし、体温が下がることで、入眠していくわけです。反対に、副交感神経ではなく、交感神経を刺激すれば、眠気は抑えられます。たとえば、手をつねったり、ペンで手の甲を刺してみたり、痛みで眠気を抑えようとした経験のある人は多いでしょう。これも、交感神経を刺激して、目覚めを促す方法です。

内向的な人と外向的な人、人の話を聞いているのは

ほかに簡単な方法として、「口呼吸をする」「拳を握る」という方法があります。口で息をしたり、握り拳をつくったりするだけで、体は戦闘態勢に入って警戒心が強まる。そうすることで緊張状態に移行し、眠気が抑えられます。そんな生理的な働きを踏まえたうえで、つまらない話を眠くならずに聞く方法があります。それは、「質問をする」こと。口に出して質問せずとも、頭の中で考えるだけでも自然と緊張感が生まれ、眠気が抑えられます。状況によりますが、積極的に会話に運んでいけば、眠くなることはありません。

しかし、「自分は外向的な人間ではない」「質問力が足りない」と思っている人も多いものです。誰もがビジネスに必要な、人の話を聞いたり引き出す力「傾聴力」について悩んだことがあるでしょう。この質問力は、じつは内向的な人のほうが高いと心理学的にはいえるのです。

なぜ自慢話をしたり、同じ話を繰り返すのか

内向的な人の目線は、自分の心に向いています。一方で、外向的な人は他人とのコミュニケーションが得意な半面、一人の状況におかれると途端に元気がなくなります。このような特性は、退屈な話を聞く場面で大きな違いを表します。外向的なスタンスの人は、共感している格好だけで、すぐ自分の話をしたがり、話を本当のところでは聞いていない。対して内向的な人は、話を自分の中で落とし込んで聞くことができ、相手の求めているものに気づくことができる。外向的な人はすぐ話に退屈してしまいますが、内向的な人は、質問を自分の中で膨らますことができる。本当の傾聴力を発揮できるのです。核心をついた質問ができるので、相手からも喜ばれる。営業でも、最初は外向的な人のほうが話は盛り上がるけれど、結局は内向的な人のほうが密な関係をつくることは珍しくありません。

眠くなるような話は、何度も繰り返された話や、自慢話という場合が多いもの。人の自慢ほど退屈なものはありませんが、だからこそ、話し手としては「聞いてもらいたい話」なのです。そこで、うまい質問をぶつけたり、話し終わった後に感想を伝えたりすれば、一気に関係を深めることができます。つまらない話をチャンスに変える。それも、1つの仕事術といえるでしょう。

(伊藤達也=構成)
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