犯罪者が事件を起こした動機としてしばしば発するのが、「魔が差した」という言葉です。つい出来心で万引をしてしまった。日頃のストレスで追い詰められ痴漢行為に走ってしまった。そんなことを言う人間をニュースなどで目にします。

小説家の村上春樹は、「罪を犯す人と犯さない人とを隔てる壁は我々が考えているより薄い」と語っています。誰でも、もしかすると自分自身も、何かのきっかけで罪を犯す可能性がある。そう考えている人は多いかもしれません。ですが、犯罪心理学では犯罪をする人としない人の間には明確な「厚い壁」があり、「魔は差さない」と考えられています。

(構成=伊藤達也)
【関連記事】
実は自分も「悪魔の誘い」に乗る人は、なぜ乗るのか?
「経営者には“サイコパス”が多い」不都合な真実
なぜ不正会計は子会社で起こりやすいのか
姜尚中「悪」はどこから生まれるか
なぜ「女性専用車両」ができても、痴漢はなくならないのか