わがままに生きて自らを追い詰めない

2023年に自ら命を絶った人のうち、会社の人間関係などに関わる「勤務問題」が原因と考えられている人は、全体の約13%にあたる2875人(厚生労働省調べ)。仕事を持つ人のなかでは、「健康問題」「経済・生活問題」についで多い原因となっています。

私の知る限り、こうして自らを追い詰めてしまうのはわがままに生きることができないまじめな人が多いんですね。そんなふうに自分を追い詰めてしまわないためにも、わがままに生きることは大事なことです。同時に、わがままな自分の感情や意見を上手に打ち出せるようなスキルを身につけることは、とても重要だと思っています。

わがままになって自分の意見を押し通せば、人間関係に軋轢が生まれると思う人もいるかもしれません。自分の意見を言えず、ひたすらパッシブ(受け身)になって強気な相手につけ込まれたり、反対に自己主張がアグレッシブ(攻撃的)になって、ただのわがままなオレ様になってしまいがちです。日本人は、自己主張があまり得意ではない国民と言われているのです。

深呼吸で緊張をほぐし汗をぬぐい目を細める

一方、欧米では、自己主張を意味する「アサーティブ」という言葉があることをご存じでしょうか。

アサーティブとは自己主張は自己主張でも、「対等な関係の下でおこなう」自己主張を意味します。自分の主張を一方的に押し通すのではなく、相手のこともしっかり尊重する、いわばウインウインの自己主張がこう呼ばれます。

断るほうも、断られるほうも軋轢を生まないアサーティブな自己主張の方法は、多くのケースで存在します。そんなスキルを身につけて、上手にNOを言える人を目指すべきでしょう。

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写真=iStock.com/ImpaKPro
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では具体的にどうすればいいのか。その方法を紹介する前に、まずは誰もがアサーティブなNOを言えるようになるための、準備運動のようなものを紹介しておきます。