仕事や家庭の悩みはすべて解決できる! 京セラ、セブン&アイ・ホールディングス……。世界に名だたる経営者のDNAが息づく「門外不出のノウハウ」を紹介します。

問題:部署の成績を左右するビッグプロジェクトを任された。どう向き合うべき?

京セラセオリーなら――「困難から逃げない」

重要なプロジェクトを任されることになり、かつてないプレッシャーがのしかかる。稲盛和夫氏が創業した京セラならどう対処するのか。

京セラ社長の山口悟郎氏は、「社会人がプレッシャーを感じるのは当たり前のこと」と指摘する。

「社会人は自分の仕事に責任を持っています。プレッシャーは避けられないのだから、そこから逃げるのではなく、どうすればうまく付き合えるのかを考えるべきです」

プレッシャーに立ち向かうにはどうすればいいのか。山口社長は「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」という京セラフィロソフィを紹介してくれた。

「『自分は必ずこの山を登れる』と楽観的にとらえることが大事です。いったんプレッシャーを軽くしたうえで、次の計画段階ではプレッシャーを逆に利用して、悲観的な目でリスクを洗い出して対応策を立てます。実行段階では『事前にできることはすべてやったのだから大丈夫』と、ふたたび楽観的にとらえて前に進んでいく。プロセスによって楽観と悲観をうまく使い分けることで、プレッシャーとうまく付き合えるはず」

とはいえ、計画を実行していくと想定外のことが起きて、楽観的な気分を打ち砕かれることは多々ある。精神的に追い詰められてしまったときは、どうすればいいのだろうか。

「どうしてもキツければ、動けなくなる前に休めばいいでしょう。ただ、回れ右をして帰ってはダメ。いつかは山を登りきるんだという思いでその場にとどまり、力を蓄えるのです。私も営業時代、難攻不落のお客様の担当になり、精神的に追い込まれたことがあります。小休止を挟みつつアプローチを続けて、最終的にはそのお客様と一緒に飲みに行くほど仲良くなった。その段階に行くまで約2年。ときに立ち止まりつつも、逃げない姿勢が大切なのです」