仕事や家庭の悩みはすべて解決できる! 京セラ、セブン&アイ・ホールディングス……。世界に名だたる経営者のDNAが息づく「門外不出のノウハウ」を紹介します。
問題:上司は早く帰れと言うけれど、終わらない。どうしたらいい?
京セラセオリーなら――「処理スピードより見極める力」
仕事がなかなか終わらないのは自分の処理スピートが遅いから、と考えるのは早計だ。京セラの山口悟郎社長が重視するのは処理スピードより、急ぎの仕事を見極める力だ。
「営業をしていると、お客様から要望やクレームが次々に届きます。それらにすべて対応していると、仕事は片づかない。必要になるのは、本当に緊急度の高いものを見抜く力です。たとえば『ラインが止まってしまう』と言われたら何を差し置いても対応しなければなりませんが、『荷物がまだ届いていない』は、出荷しているならそのうちに届くので大慌てで対応しなくてもいい。何が本当に急ぎで、何は後回しでもいいのか。優先順位をつけられるようになれば、仕事全体のスピードは上がるはずです」
緊急度とともに、求められている完成度の見極めも重要だ。
「現実にはすべての仕事にじっくり時間をかけるのは無理。時間をかけて丁寧にやる仕事と、スピード優先で片づける仕事を見極めて、時間を短縮できるところはどんどん削っていく必要があります」
仕事を見極める力は、稲盛氏が再生を手がけたJALでも重視されている。JAL客室本部の瀬貫由美氏は、フライト中の仕事の処理について次のように教えてくれた。
「フライト中、揺れがひどくて客室乗務員も着席しなければいけないことがあります。その時間が長くなると、手順を臨機応変に変えていかないと仕事が終わりません。もちろん時間がないからといってお客様の前で慌てた素振りを見せるのは厳禁。限られた時間でサービスするには、何を先にやるのか、また何をいつもと変わらず丁寧にやるのかを見極めることが求められます」