誰もが認める実力を持ちながら、アウトローとして生きざるをえない。ノンフィクション作家の田崎健太さんが描いてきた人物の共通点である。

「不器用で、メディアにも迎合できず、孤立してしまう。でもそんな彼らが語る言葉には嘘がない。取材には時間がかかりますが、彼らの本音を通じて、時代を描きたい」

田崎健太(たざき・けんた)
1968年、京都府生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学法学部卒業後、小学館に入社。「週刊ポスト」編集部などを経て、99年に退社。著書に『偶然完全 勝新太郎伝』『維新漂流 中田宏は何を見たのか』『ザ・キングファーザー』『球童 伊良部秀輝伝』などがある。

本書の主人公はプロレスラー・長州力。「新日本プロレス」を代表する選手だが、たびたび移籍騒ぎを起こし、「キレてないですよ」という発言がモノマネされるなど、トラブルメーカーという印象もある。だが取材現場に現れた本人は、居酒屋の片隅に足を揃えて礼儀正しく座った。そして何度会っても、朴訥で、慎ましく、自分を飾らない。次第に「長州力」と「吉田光雄」は違うことがわかった。

(小原孝博=撮影)
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