このタイトルにして、帯には「最後の告白」。艶やかな内容を連想させるが、著者が出会い、鍛えられたという“女傑”を振り返る回顧録である。日本の危機管理や要人の警備に関わってきただけあって、吉田茂の三女・麻生和子を筆頭に、塩野七生、緒方貞子など、錚々たる名前が並ぶ。頻出する言葉も「ノーブレス・オブリージュ(高い地位に伴う義務と責任)」だ。

佐々淳行(さっさ・あつゆき)
1930年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、国家地方警察本部(現警察庁)に入庁。「東大安田講堂事件」「連合赤軍あさま山荘事件」等では警備幕僚長として危機管理に携わる。89年昭和天皇大喪の礼警備を最後に退官。

「沖縄を行幸中、過激派から火炎瓶を投げられた当時の美智子妃は、皇太子殿下の前に進まれて炎から守ろうとされました。来日したエリザベス女王は、ステッキ代わりに傘を1本持っている護衛が1人だけ。にもかかわらず、『襲われるのもひとつの任務。よく卵を投げられているから、気にしないで』と平然としている。世界共通で本物のセレブリティは心が強いのだと学びました」

(永井 浩=撮影)
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