「積極的に女性登用を」。安倍首相の発言で注目を集める、女性管理職問題。実際に女性上司をもつ部下たちは、自分のボスをどう思っているのだろうか。生の声を集めた。
日本の女性の地位は、世界101位。これは、世界経済フォーラムがまとめた「男女平等ランキング」(2012年)の順位だ。日本は女性の管理職が少ないと諸外国には文句を言われているが、10年前に比べたら女性上司は格段に増えている。男性の何倍も優秀で、男性の何倍も男らしいスーパーウーマンが出世していたのは昔の話。今はさまざまなタイプの女性上司がいる。男性上司が皆すばらしい上司ではないのと同様、当然、いい女性上司も悪い女性上司もいる。
「いつまでも“女子”やってる女性上司……見ててすごく痛いんです」
今回の取材で一番聞いたのは、こんな声だ。
バブル時代にスルリと大手企業の総合職に受かり、結婚しないまま会社にいて、その後、女性管理職登用の波に乗り、実力もないのに管理職になったタイプの女性上司だ。女性が多い業界で、そんな女性上司の下につくと悲劇が待っている。
「女性上司で困ったタイプは、女子校ごっこをやっている人。親子ほど年が離れている25歳ぐらいの子たちと一緒にきゃあきゃあやってます。プライベートでも一緒に遊んで、仕事でもえこひいきする。例えば寵愛グループの子は休むときも上司の携帯に直接メールするんです。その情報が共有されないので、他の人には休みなのかどうかもわからない。プライベートと仕事をごっちゃにするのは本当にやめてもらいたいです」
そう証言するのは百貨店業界のアツコさん(32歳)。仕事が大好きで管理職を目指す彼女は、その女性上司に嫌われて、他の人のミスを押し付けられたり、散々な目にあった。
「トイレや給湯室で人の悪口ばかり言っているのは苦手なんです。でも会話に混ざれないと仕事でも排除されてしまうので、無理して媚を売った時期もありました。でも仕事の出来不出来ではなく、感情的に“嫌い”のほうに一度処理されたら、もうリベンジは不可能でした」
以来、女性上司アレルギーだ。男性のように厳しく叱られる経験もなく上がってきた女性上司は、ぬるま湯の中につかって成長しないままその地位にいる。これは、女性は多いが女性管理職は少ない百貨店業界のケースだ。