2005年の秋。大腸内視鏡検査を受けたジャーナリストの著者に、大腸がんのステージII期という診断がくだされた。そのときの心境をこう綴る。

鳥越俊太郎(とりごえ・しゅんたろう)
1940年、福岡県生まれ。京都大学卒業後、毎日新聞社に入社。大阪本社社会部、東京本社社会部、テヘラン特派員、「サンデー毎日」編集長を経て、89年、同社を退職。その後、活動の場をテレビに移し、「ザ・スクープ」「スーパーモーニング」等でジャーナリスト・ニュースの職人として活躍する。2001年「日本記者クラブ賞」を受賞。

「呆然たる思いがあったのは事実です。しかし、同時に『しめた!』とも思いました」

危機的状況で、なぜ好機を迎えたかのような感情になれたのか。それはがんに浸された自分を、患者の立場からレポートできると考えたからだ。そしてその後、転移の疑いで4度の手術を体験しながら、がんとの闘いを発信し続けた。命を脅かす病気にさえ好奇心を向けるとは、見上げた職業精神である。

(永井 浩=撮影)
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