どんな会社で働けば、億単位の資産を築くことができるのだろうか。編集部は転職支援サービスを提供する「ワンキャリア転職」に協力を依頼。膨大なクチコミデータから、有望企業のリストを作成した。

配当金で年2000万円会社員も富裕層になれる

伊藤忠商事が昨年8月に公表した統合レポート。岡藤正広CEOのトップメッセージには、会社員の夢ともいえるエピソードが語られている。繊維部門にいた女性が社員持株会で40年以上にわたりコツコツと自社株を積み立てた結果、定年時に時価8億円相当(保有株数10万株超)に達し、配当だけで年2000万円も受け取れるようになった、というのだ。

投資家でも経営者でもない事務職の会社員が、自社の仕組みを使うことで気がついたら「超富裕層」の仲間入りを果たしていた。このジャパニーズ・ドリームには、「会社員人生に勝ち筋がある」ことを再認識させられる。

新NISAの普及や世界的な株高から投資が広がってきている中で、職場選びにも変化が生じてきている。転職支援サービス「ワンキャリア転職」の矢藤良介氏は、ここ5年の転職者の志向の変化について指摘する。

「以前は『とにかく額面の年収を上げたい』というフロー重視の転職が一般的でしたが、最近は『どういう仕組みでお金が手元に残り、効率よく資産を増やせるか』というストックへの視点を持つ人が増えています」

矢藤氏は実際の面談の場で、以下のような質問を受けたことがあるそうだ。

「持株会の奨励金率は何%か」
「確定拠出年金の拠出限度額は」
「賞与の算定方法に透明性はあるか」
「家賃補助を受けられる条件は」

転職活動の冒頭からこうした条件が問われることはないものの、「候補がある程度絞られた段階でよく話題に上がります。かつては福利厚生の一要素、いわば『おまけ』のような扱いだった条件が、今どきは決定打として機能している印象」だと言う。

なるほど、社会保険料や税の負担を踏まえれば、年収が1000万円を超えても、額面が100万円増えたときの手取り増は40万円程度にとどまる。

昇給で額面を積み上げるより、会社の制度を賢く使って資産を守り、運用で増やしたり、福利厚生で出費を抑えるほうが堅実だとも言える。

「コロナ禍以降、リモートワークの普及で副業が身近になったことも、個人の『手取り最大化』への意識を後押しする要因となりました。これからの会社選びは、どういう仕事ができるか、いくら給料をもらえるかだけではなく、資産形成の条件を見極める『投資判断』としての側面も大切になってくるかもしれません」