私はがん患者の多くが受ける「告知」という洗礼を受けていない。いきなりがんを「目撃」してしまったからだ。

鳥越俊太郎氏

最初の異変はビールがまずくなったこと。2005年夏のことだ。便に赤いものが混じっていることにも気づいた。便器が真っ赤になる日もあった。「がんではないか」という不安がよぎった。が、長年の痔持ちゆえに「鮮血だから痔による出血」と勝手に心に言い聞かせ、事態を直視しなかった。

そのうちに左下腹部が重たいと感じるようになり、下痢、便秘が続いた。「やっぱりおかしい。何かある」と、心の底でアラームが鳴り響いた。ここに至って同年9月30日、ようやく東京・虎の門病院の人間ドックに入った。