なぜ「千代田区」に本社があるのか?
日本の大手生保の本社は、どこにあるかご存知でしょうか。
第一生命は東京都千代田区有楽町、明治安田生命は千代田区丸の内、日本生命も登記上は大阪が本社ですが実質的に今は千代田区丸の内にあります。どの社も、誰もが認める都心の超一等地です。
なぜ、千代田区に集中しているのか。
最大の理由は、金融庁です。言うまでもありませんが、保険会社や銀行は、免許事業。監督官庁は金融庁です。生保各社は、新しい保険商品をつくるごとに同じく千代田区の霞ヶ関にある同庁に出向き、商品の内容を担当者に説明し、チェックを受けることになります。
やりとりは、もちろん電話やメールですむこともありますが、面会が必要な場合もあります。複雑な商品だったりしたら1回や2回ではすみません。質疑応答など、必要に応じて何度も繰り返します。
もし、本社が地方にあったら、そのたびに生保担当者が大量の資料を持参して上京しなければなりません。交通費も労力も、かなりのものになるでしょう。ですから、アクセスが極めていい同じ千代田区内に本社を構えるのです。千代田区に次ぐのは、隣接する港区や中央区、新宿区などです。
ちなみに同庁がチェックするのは、例えば、保険商品の保険料の算出方法が公平性などを考慮して、合理的かつ妥当なものとなっているかどうかということや約款の内容が消費者の不利になっていないかどうかなどです。一方の生保側は、商品の「製造原価」(純保険料)がいくらかをつまびらかにし、約款の内容の妥当性を説明します。
通常、保険商品の認可にかかる審査期間は正式な申請から90日。保険業界では、「90日ルール」と呼ばれています。申請前に、事前に相談する場合もあるので実際には、自社と金融庁との行き来はもっと長くなるケースもあります。