20、30 代「ひとり暮らし」が働けなくなったら

単身の世帯が増え続けています。高齢者もそうですが、20、30代の若い世代にもひとり暮らしが多くなっています。相関関係にあるのは、未婚率の上昇でしょう。

以前、30代のキャリアウーマンのお客さまが次のように言われました。

「私は、1000万円の死亡保険に入っているのですが、自分の生活をよく考えてみたら、これはいらない保険でした。私が死んでも誰も困らないからです(編注:親は健在で、まだ働いているか、年金を支給されており、娘が死亡しても経済的な影響はない)。マンションも住宅ローンで買った(団体信用生命保険加入しているので、死亡後はローン返済免除)。友だちはたくさんいて、『寂しい』といえば駆けつけてくれるボーイフレンドもいる。でも……、もし病気やケガで長期間寝込んで、動けなくなったり働けなくなったりしたら、どうなるか。それが、とても心配です」

現状には何の不自由もない。ひとり暮らしでも問題はない。しかし、長い間働けない状態になったら、収入は途絶え、友だちも寄り付かなくなってしまうのではないか。そんな漠然とした不安をいつも感じているというのです。

この話を聞いて読者の皆さんはこう思われるかもしれません。

病気やケガをしても、何らかのサポートがあるから大丈夫、そんなに深刻に考えなくても、と。社会保険や公的扶助があるよ、と。

確かに、公的なセーフティネットはあります。

まず、会社員なら「傷病手当金」が出ます。病気やケガで働くことができず、欠勤日が連続して3日間以上あった場合、4日目以降は標準報酬月額の3分の2が支給されます。ただし、その支給は18カ月まで。それ以降は支給されません。(編注:他に年金保険の「障害年金」や、労働保険として「労働者災害補償制度」などがある。それぞれに給付条件があり、人によって給付金額も変わる)

では、民間の保険を買えばいいのではないか。

ところが、軽度の病気やケガであれば医療保険で事足りるかもしれませんが、治療・療養が長期にわたる場合は医療保険でカバーしきれないことがあります。一般に、医療保険の1回の入院に対する支給の限度日数は60~180日となっています。